No.101 H17.10.8

 今回はある本の引用から始めたいと思います。

 その本は「合格手帳」という本で,受験勉強を効率化するための手帳なのですが,その中に以下の言葉があります。
「勉強法の本を出している私ですが,ここだけの話,勉強は気合です。効率ではありません。
・・・ちょっと言い過ぎました。効率も大事です。でも,圧倒的な気合の前には効率性は無力です。」

 僕もその通りだと思います。まさに正論です。受験生の心構えとしては全くもって正しいと言わざるを得ません。実際に,やる気に満ちた生徒はさして指導力のない塾にいても合格すると思います。確かに気合が全てなのです。

 しかし,現場で日々教えている講師として僕はこの言葉には全くうなずけません。なぜなら,「それはあくまで受験生側の問題であって,指導者側にとっては『生徒はやる気がないのが大前提』だから」です。

「やる気のない生徒お断り」とチラシに明示している塾もまた同様です。おそらく色々な意図があるのでしょう。

 しかしながら僕には,それは授業を効率的に行うためであるかのようで,実は「生徒にやる気を出させる方法論を持っていないことの口実」のように思えます。毎日「生徒にどうやってやる気を出してもらうか」ばかり考えている僕には,単なる逃避にしか見えません。

 もちろん,やる気に満ち満ちた生徒も少なからずいます。しかし,勉強に対してどうしてもやる気のない生徒もやる気のある生徒以上に存在します。したがって,勉強を指導する側は,「やる気のない生徒にどうやってやる気になってもらうか」の技術が不可欠であると僕は思います。

 「そもそも勉強はやる気を出してからやるものだ」という考えと「そもそも生徒は勉強に対してやる気がないものだ」という考え。僕は指導者たる者は後者を前提にすべきだと考えるのですが,みなさんはいかがですか?