No.104 H17.10.29

 「自分にとって大切な人のために出来る限り頑張ってみる」

 個人的な印象では,最近こういった考え方があまり見受けられなくなってきたように感じます。

 「他者ではなく自分のために頑張る」という,スポーツ選手によく見られる考え方がメディアを通じて一般化したためのような気がしますが,実は僕は自分のために頑張ることが出来ない人間です。自分のために頑張るくらいなら,今この瞬間に楽をしていたいと考える人間です。実際に,僕の仕事のほぼ全ては生徒やご父母の皆様につき動かされてやったものであり,決して「自分のため」などという意識は働いていません。

 では,今の塾生はどうなのでしょうか。自分のために頑張っているのでしょうか。それとも,誰かのために頑張っているのでしょうか。

 僕はどちらでも構わないと思います。とにかく今この瞬間を全力で頑張るということが大切なので,それが「自分のためか他者のためか」は大した問題にはなりません。

 しかし,そのどちらでもない生徒がいるような気がしてならないのです。すなわち,自分のために頑張ることも出来ず,かといって他者のために頑張ることも出来ず,といった生徒が実はかなりの人数に及んでいるのではと思うのです。どちらのためにも頑張れない。だから結局何も前に進んでいかない。

 もしそうだとしたら,その生徒はただこの世界を漂っているだけなのではないでしょうか。

 「(自分も含めた)誰かのために頑張る」という意識が目標をよりクリアにさせ,達成の原動力になると僕は考えます。元来勉強は厳しくつらいものなので,何らかの強いモチベーションがなければ継続は困難を極めます。しかし,もしもそこに誰かの存在がいたら,その人のために頑張ってみたいという存在がいたとしたら,その困難の度合いはかなり低くなるのではないでしょうか。もちろんそれが自分自身のためであっても一向に構いません。ただ,現時点で自分のために頑張るということがピンとこない生徒は,お父さんやお母さんのような大切な誰かのために頑張る方が取り組みやすいのではないでしょうか。そこから感謝の心を学べればそれはなお素晴らしいと思います。

 時代はすでに「一生頑張り続けなければ生きていけない」という方向へとシフトされています。ではその環境の中で生き抜く術として確かなものは一体何か?僕は「いつでも何に対しても全力を出し切れる強い気持ち」だと思います。塾生が創優会での勉強を通じて「精一杯頑張ることの本当の意味」と「精一杯頑張ることの先に何があるのか」について学び,しっかりと身につけてくれたなら,僕にとっては本望です。