No.106 H17.11.12

 「これだけ頑張ったのだから,いい結果が出ないと納得いかない」

 最近このような言葉に出くわすことが多くなりました。塾生一人一人が着実に頑張れるようになっているためだとも言えるのですが,僕の中では少し違和感のある言葉です。今回はこの事について書いてみます。

 僕の考えでは,勉強というものは最低でも3ヶ月は継続しないとなかなか成果が上がるものではありません。中学校の定期試験ならば狭い範囲の中から丸暗記で取れるような問題ばかり出題されるので話は別なのですが,入試本番はもちろん模試や実力テストのような試験となると,やはりまとまった期間の持続的な学習が不可欠であると思います。小手先や付け焼刃的な勉強ではどうすることもできません。

 ただ,人間ですから頑張った分早く成果を出したいと願うのは当然です。早く成果が出てくれた方が励みになり,その後も頑張りやすくなります。

 しかしながら,僕はそこで成果を求めるのはやはり「欲ばり過ぎ」なのではないかと思うのです。成果が出たから良い,成果が出ないから悪い,といった結果重視の判断も時と場合によってはいいのですが,残念ながら頑張った分いつも成果が出るとは限りませんし,頑張らなくてもそこそこの成果が出てしまうことさえあります。したがって,結果を重視して判断を下すのではなく,あくまでも「過程」にこだわるような姿勢こそが大切なのではと思うのです。すなわち,納得がいくかいかないかの判断は過程に対してするものであって,結果に対しては納得という言葉を当てはめるのは見当違いのような気がしてなりません。

 そう考えると,上記の言葉も「今回はこれだけ頑張ったのだから,頑張れたこと自体にとりあえず自分では納得がいく。自分がこれだけ頑張れたことそのものが嬉しい。あとは結果も伴ってくれればいいな」くらいの気持ちでいる生徒の方が精一杯の勉強を長時間持続できるような気がするのです。

 結果をコントロールできる人間はいません。しかし,過程はいくらでもコントロールできます。僕は「努力しなさい」や「結果を出しなさい」というよりも,「結果を出すために自分にやれることは何かを常に考えなさい」と言う方が生徒たちにとっては意味があるのではと思っています。