No.131 H18.6.10

 いよいよサッカーのワールドカップが開幕しました。そこで今週は、サッカーにちなんだ話を。

 日本代表の中心選手である中田英寿選手は、自分の生き方として「一週間先までの目標しか設定しない」のだそうです。もちろん、長いスパンでの目標もない訳ではないらしいのですが、それでも大切なのは「この一週間をどうやって過ごすか」なのだそうです。したがって、中長期的な目標は「あまり意味があるとは思えない」とまで言い切っています。考え方としてはかなりユニークだと思います。

 しかし、中田選手自身も認めているのですが、この考え方あるいは頭の使い方こそ中田選手をあれだけの選手にしたのではと僕も考えています。「周囲がどう言おうが関係ない。自分の頭を正しく使っていくことが何より重要だ」と、全ての既存の価値観に対して、一つ一つ徹底的に検証し、「本当にそれが正しいのか、それとも実は間違っているのか、あるいは正しいのかもしれないが自分には合っていないのか」を自分の頭で考える力こそが何よりの能力であり武器なのではないかと思います。振り返ってみれば、日本が初めてワールドカップに出場した8年前のフランス大会も4年前の日韓共催による大会も、そして今回のドイツ大会もチームの中心は中田選手にほかなりません。その彼の最高の能力が「自分の頭をフルに使うこと」というのは、僕らに何かを暗示しているように思えてなりません。

 スポーツであっても何であっても、「自分の頭を使って物事を考えること」以上に大切なことはないのではないでしょうか。もちろん努力は大切です。しかし、その努力も何も考えずに積み重ねられてもあまり意味がありません。「『自分に必要なことは何か』を絶えず考え、それを実行していく」そうして初めて努力が真の努力に昇華するように思えるのです。

 塾生にとっても今は定期試験の真っ只中です。「各々がしっかりと準備をした上で試験に臨み、その上でまた新しい課題を見出し、その克服に努める」こういった行動が習慣化し、当たり前の行為となった時、その努力に見合った正当な結果がもたらされ、かつその生徒の本当の人生が始まるのだと思います。そして、「人生って確かに苦しいし難しいけれど、でもこんなに楽しいものだったんだ」と実感できると信じています。

 早く自分の可能性に気づき、自らの手で人生の扉を開いて下さい。それを期待して僕はいつまでも応援しています。

〈今週のMVP〉

 今週のMVPは中3クラスの吉田拓朗君です。定期試験を目前にして、ほぼ毎日のように自習室で勉強をしています。しかも、ただ勉強をしているだけではなく、その姿勢には、「もう後戻りはできない」という確固たる決意を感じます。そんな男の決意にMVPを送りたいと思います。