今週はサーカスの象の話から始めます。
サーカスの象は小さい頃にサーカスに入れられてしまいます。その時、その小象が逃げないように足にくさりをつけて杭を地面に差し込みます。小象も初めはなんとか逃げようとしてその杭を引き抜こうとします。しかし、小象の力ではどうしても抜けません。そのうち、小象は逃げ出すことをあきらめます。
この話の核心はここからです。
象はやがて大人になり、身体も見違えるほど大きくなります。その巨体をもってすると、小象の頃につけられたくさりや杭などひとたまりもないはずです。しかし、象は決してそうしようとはしません。なぜなら、「杭が抜けることなどあり得ない」とあきらめてしまっているからです。そうして、象は手を伸ばせば簡単に届くはずの自由をつかみ取ることもなく、いつかその短い生涯を終えてしまいます。
僕がこの話を知ったのは、今から7~8年前だったと思います。その時に読んでいた本にその話が書いてあり、大変考えさせられた覚えがあります。今回それとは違う本を読んでいて、またこの象の話に出くわしました。そして、また考えさせられました。
以前読んだ時に考えたのは、「『教育という名の去勢』というものが、実は世の中に数多く存在しているのではないか」ということでした。つまり、「教育という体裁で、実のところは子供たちを大人の都合に合うだけのロボットへと変えてしまっているだけなのではないか」と。あるいは、「『言うことを聞く子=良い子』というのは幻想に過ぎないのではないか」と。
それから僕は、生徒たちに「自分の頭で物事を考えるということがいかに大切なことか」を伝え始めました。そして、自分で物事を考えるにはやはり絶対的な知識量が必要なため、授業中に勉強以外の様々な話をするようになりました。
気づいたらそれをずっと続けていたのです。そして、今でも僕の考えは変わりません。
みなさんはこの事についてどう思われるのでしょうか
〈今週のMVP〉
今週のMVPは小6クラスの曽根崎慧くんです。彼は歴史の授業を通じて、ただ覚えるだけでなく、様々な事象に興味を抱きながら学んでいます。その勉強に取り組む姿勢は、勉強の本来あるべき姿を体現してくれているようでとても好感が持てます。この勉強への取り組み方がいろいろな面で彼の勉強を良い方向に導いてくれることを願います。おめでとうございます。