先日、中田選手が現役引退しました。今回はそれについて思うところを書いてみたいと思います。
ブラジル戦の後、ピッチに横たわったままずっと動かない様子を見て、「中田のサッカーはもう終わってしまったのだな」と直感しました。と同時に、「サッカーに対して限界を感じたのかな」とも思いました。
したがって、その後現役引退が発表されても僕はさほど驚きませんでした。
そして今、僕は塾生たちに中田選手のような生き方をしてもらいたいとつくづく思います。
僕自身もそうなのですが、中田選手はそれ以上に「自分の好きなことしかしない人」です。もちろん、好きなことの中には面倒で嫌な要素も多分に含まれていますが、それでも「自分の好きなことをしているのだから仕方ない」と納得もできます。そして、好きなことなのだから、徹底してやり尽くそうとする意識が働きます。ブラジル戦後ピッチに大の字になった中田選手はまさに「好きなことを妥協せずにやり尽くした」のだと思います。
つまり、塾生のみんなに「自分が全てをかけてのめりこめるほど好きなことを見つけてほしい」ということなのです。
しかし、今回このような文章を書いているのには、実はもう1つ理由があります。
それは、ある世界的な機関の調査によると、日本人の中で「やる気を持って仕事をしている人」あるいは「仕事にやりがいを感じている人」の割合がなんと2パーセントで世界最低の水準であることがわかったからです。また、「上司に対して不満を感じている人」と「今すぐにでも仕事を辞めたいと思っている人」の比率は世界一でした。
どう考えてもこの数字は異常です。僕はそれを見て愕然とすると同時に、このような大人たちの中で育っている今の子供たちの将来に対して危機感がますますつのりました。
でも真の問題は、「子供たち自身が『自分は何がやりたいのか』をわかろうとしていない」ということなのです。
やりたいことが見つからない。それは普通です。そんなに簡単に見つかるわけがありません。しかし、「見つからないこと」と「見つけようとしていないこと」は全く別の問題です。このまま推移していくなら、今の子供たちのほとんどがやりたくもない職業について、何十年間もそのやりたくないことを続けなければならないということになります。これを不幸と呼ばずして何と呼べばいいのでしょう。
そこで中田選手の生き方が参考になります。「自分の人生なのだから、やりたいことをやる。しかも、人生は短いのだから、やりたいこと以外は何もしない。でもその分、あらゆる事を自分の責任で誰にも迷惑をかけずにやり遂げる」彼はこのようなスタンスでサッカーに取り組んできました。そして、それを今、また新しい「自分のやりたいこと」に挑もうとしています。
たった1度きりの人生なのですから、自分の思い通りに生きてほしいものです。でも、それは決してわがままということではありません。「自分は何をするために生まれてきたのか」を考え尽くして、それを把握した上で日々充実感を抱いて生きていけるように、今という時間を大切にしてもらいたいと思います。
人は誰でも「思い通りに生きられる権利」を持っているのだと僕は信じています。
〈今週のMVP〉
今週のMVPは中1クラスの足立沙耶さんです。毎週土曜日に実施している数学の補講で、これまで一度の欠席もなく出席し続けています。もちろん勉強に取り組む姿勢も立派です。そんな彼女に今週のMVPを授与したいと思います。