No.145 H18.9.30

 北海道日本ハムファイターズが見事にレギュラーシーズン優勝を果たしました。駒大苫小牧の活躍も相まって、北海道に野球ブームが到来しそうな気配です。子供の頃から野球好きな僕としては嬉しいのですが、ファイターズより好きなジャイアンツが全然ダメなので、嬉しさも半減といったところです。桑田選手の退団も悲しい限りです。ただ、北海道の未来を考えた場合、「おらが町の野球チーム」で盛り上がることはとても重要なことなのではないかと思いました。

 小泉内閣がもたらした構造改革の大きな柱の一つに「小さな政府」が挙げられます。これは「中央の権限を弱め、地方に自らの決裁権を持たせることで、各自治体に中央から自立した運営をしてもらおう」といったことが狙いなのですが、同時に「中央としてはもう自分たちのことで精一杯で、地方のことなど構っていられない」という本音もまた周知の事実です。そのことに対して「地方切り捨ては許さない」といった議論も盛んなようですが、僕は「切り捨てもまた仕方ないよな」と思っています。例えば、ある会社で不採算部門を独立させ、一つの企業とした場合に、必ずしもその会社が倒産への道を歩むとは限りません。それまでの「甘え体質」が改善され、責任が発生する分人材も成長し、以前とは全く違う会社へと変貌を遂げるということはどこにでもある話です。「経営者が変わったら、あのレストランも美味しくなったわ」なんていうこともよくありますよね。僕は「小さな政府」への移行も同様に「北海道が変わるチャンス」ととらえるべきだと思うのです。

 そのシンボルとして北海道日本ハムファイターズを活用すればいいのではないでしょうか。

 ご存知のとおり、ファイターズは現時点で「25年間リーグ優勝から遠ざかっている弱小球団」です。今年は勢いで乗り切りましたが、それでもまだ来年以降もソフトバンクや西武と互角に渡り合えるほどの力があるとは言えません。昨年優勝した千葉ロッテも真の実力がついていなかったので今年は4位に沈みました。しかし、ファイターズが真の実力を備え、毎年優勝争いにからむ真の強豪チームとなった時こそ、僕はまさに「北海道の自立」の象徴となるのではないかと思っているのです。資金力では先の2チームには全くかないません。しかし、下部組織から選手をしっかりと育て上げることができれば、必ずチームは強くなります。そして、その部分を妥協せずにやり抜くことは、志さえあれば決して難しいことではありません。

 ただここで問題が1つあります。それは北海道民の「すぐに結果がでないと『やっぱり駄目だ』とあきらめてしまう気質」です。

 道民は厳しい寒さに耐えることが出来るにもかかわらず、物事に対して実に「あっさり」としたところがあります。そのこと自体は別にあっても構わない要素だと思うのですが、でも「粘り強くこつこつとやり続ける」といった要素もなければ何事も成就されません。したがって、「この気質とどう向き合い、克服していくか」を考えていくことが、「地方切り捨て反対」などと目くじら立てるよりもずっと大切なことだと僕は思うのです。

 ファイターズが資金面のハンデを乗り越え、またこつこつと粘り強い指導で自力のある選手を育て、真の強豪チームとなった時、それが一つの象徴となり、それから北海道にも大きな実りがもたらされるのではないかという気がしてなりません。少なくとも僕はそういう目でファイターズを応援したいと思っています。