No.364 H23.10.1

秋分の日に東京から教え子が遊びに来てくれました。

ちょうど10年前に高校受験を指導し、第一志望校に合格してくれた女の子です。

会うのは4年ぶりだったのですが、

その間に彼女は就職活動を経験し、去年の春から大手企業に総合職として勤めています。

 

4年という歳月が、特に就職活動と社会人生活が、彼女を大きく成長させていました。

僕の目には本当に頼もしく見えました。

 

「先生が言っていたことが今はよくわかるよ」と彼女は言いました。

「だから、また先生の授業受けたいわ。ちょっと怖いけど…」とも笑顔で言いました。

 

それを聞いて、

「自分を信じてやってきて良かったな」としみじみ思いました。

 

彼女はとてもよく気が利く子なので、

何を言えば僕が喜ぶのかわかって、あえて言ってくれたのかもしれません。

 

でも、たとえそうだとしても、

彼女の言葉が僕にとって最高に嬉しいものであることに変わりはありません。

 

受験指導の中には、

「受験が終わったら役に立たなくなること」や、

「合格にはつながるけれど人間としてはむしろマイナスなこと」が含まれています。

というより、そういうことの方が多いのが実情です。

「受からせさえすればいいんでしょ、塾なんだから」という考え方です。

 

確かにその考え方にも一理はあるのだと思います。

実際そのとおりのことを求める保護者もいらっしゃるのですから。

 

でも僕は、「人生における大切な時期を過ごす子供たち」に直接関わる大人として

そういう仕事の在り方というのはあまりにも無責任なのではないかと思ったのです。

それで、「塾講師を生涯の仕事とするのなら、そういうことを教えるのは一切やめよう」

と13年前に決意し、それ以降に指導した生徒が彼女なのでした。

 

今目の前にいる生徒たちにも、日々感謝し、学ばせてもらっているのに、

東京の教え子にもこうして嬉しい思いをさせてもらえるのですから、

僕は本当に幸せ者です。

 

まだまだ至らないことばかりなのですが、

少しでも生徒たちの力になれるよう日々努力したいと思います。