先日あるサッカー情報番組で元日本代表FWの釜本邦茂さんがこんなことを言っていました。
「私は背の高い選手には『背の高さを忘れなさい』と言います。
足の速い選手には『足の速さを忘れなさい』と言います。
なぜなら、サッカー選手には絶対的に『足でボールを扱う技術』が必要だからです。
背が高いとか足が速いというのももちろん大切な能力ですけれど、
サッカーでは『足でボールを扱う技術』があってこその能力にすぎませんし、
そのことが理解できない選手はどうしても伸び悩みます」
「生まれつき持っているもの」だけを武器にしてずっとやっていくことは出来ないのですね。
それ以外に、「自分の努力によって獲得したもの」を用意しておかなければ、
サッカー界では生きていけないのでしょう。
それはもちろんサッカー界だけに限られたことではありません。
もともと生まれ持った能力だけで何の努力もせずにやっていくことなんて誰にもできません。
いつか必ずぶ厚い壁にはね返されてしまいます。
ただ、僕はこうも思うのです。
「そのはね返された瞬間から『自分の本当の人生』が始まる」と。
僕自身もまさにそうでした。
思いっきり打ちのめされた所がスタート地点でした。
ただ足の速いだけの選手が当然のごとく壁にはね返され、打ちのめされる。
このままではだめだと一念発起し、「足でボールを扱う技術」を身につけるべく努力し始める。
そして、その努力を続けていく過程でサッカー選手としての技量が高まっていく。
さらに、その努力の積み重ねがその選手を人間として大きく大きく成長させる。
それこそが『その人の本当の人生』なのではないでしょうか。
挫折のない人生に人間としての成長はありません。
「あの時のあの挫折があったからこそ今の自分がある」
自分の挫折を肯定できる人生って素晴らしいですよね。