No.397 H24.6.23

「向上心」というものを僕は一般に解釈されているほど素晴らしいものとは思っていません。

 

確かに、あればあるほどその人の能力は高まっていきますが、

その実、あればあるほどその人に深い悩みをもたらすやっかいな代物なのです。

 

なぜなら、向上心のある人は「上を目指す」からです。

 

上を目指せば目指すほど人は苦しくなってくるものです。

それは登山をイメージしてみればよくわかります。

上を目指して登れば登るほどつらく苦しい思いをします。

 

また、上を目指す人は、例外なく現状に満足できない人とも言えます。

現状に満足していたら、向上心なんて持ちたくても持てません。

 

「上を目指して歩みたい」からこそ苦しくなってくる。

「どうしても現状に満足できない」からこそつらくなってくる。

 

向上心のない人にとっては、

「あの人はなんでいつもあんなに苦しそうなんだろう?」

ということになります。

「もっとラクに生きればいいのに…」と。

 

その気持ちもよくわかります。

でも、その苦しさやつらさのすべてを理解した上で、

それでも僕は向上心を持って生きていきたいと思います。

 

それはもちろん、向上心を持って生きることが成果や成長に直結しているからです。

向上心のない人とある人とでは、成果の質や成長の度合いが全く異なってきます。

 

でも、僕が向上心を抱きながら生きていきたいと願う理由はそればかりではありません。

 

その過程がどれほどつらく苦しいものになろうとも、

向上心を抱いて日々精一杯頑張り続けた経験は

のちに振り返った時心の中で必ず素晴らしい思い出となっているからです。

いやむしろ、つらければつらいほど苦しければ苦しいほどその輝きは増すようにさえ思えます。

 

もしかしたら、向上心を持つ人の抱える悩みや苦しみそれ自体が、

その人の人生そのものを味わい深いものにしてくれるのかもしれません。