まだ札幌に来たばかりの頃(15年前)の、塾を創立する前の話です。
僕は国語と英語しか指導できないので、数学(算数)・社会・理科の講師を募集していました。
有り難いことに15名ほど面接に来てくれたのですが、なかなか思いどおりにはいきません。
それで、当時通い始めていたお店でご飯を食べていた時、
店主に「人探しって大変ですね。全然いませんよ。本当に見つかるんですかね?」などと、つい愚痴ってしまったのでした。
言ったところでどうにもならないのはもちろんわかっていましたが、ついつい口に出してしまったのです。
けれども、その時店主は僕の目を見すえながら、こう言ったのでした。
「あなたが選んだ道なんだから…」
その瞬間、すべてがわかりました。
同時に、すべてを恥じました。
そして、店主に感謝しました。
自分で選んだこと。自分が決めた道。
そこに他人は一切関与できません。関与できるはずがありません。
したがって、上手くいってもいかなくても起こることはすべて自分の責任です。
どれほど体調が悪くても、どんな不運に見舞われても、まったく関係ありません。
自分にも他人にも一切言い訳せず、すべての結果を自分で受け止め、また前へと進まねばなりません。
そんなことくらいわかっていたはずなのに、
きちんと理解した上で自分の塾を創ろうと決意したはずなのに、
何もわかっておらず覚悟もできていなかった自分がそこにいました。
あれから15年。
自分なりに色々なことを積み上げてきたつもりではいますが、
あの日のあの情けなさだけは決して忘れられません。
僕の「原点」なのだと思います。
だからこそ、今でも店主には深く感謝しています。
あえて書きますが、受験も同様です。
どんなに勉強が大変でも、どんなに模試の成績が悪くても、
どんなに体調が悪くても、どんなにやる気がおきなくても、
それはやはり自分が選んだ道です。
志望校が変わってしまうことはあるかもしれませんが、
そもそも「受験をする」ということを決めたのは自分のはずです。
だからこそ、15年前の僕のようではいけないのです。
自分で決めた道なのだから、自らの甘えを断ち切り、すべてを覚悟し、
その上で自分の合格を信じ、前へ前へと進んでいかねばならないのです。
受験の苦しさからか、つい後ろ向きな言葉をこぼしている塾生を見ると、
僕は必ず当時の自分を思い出します。
そして、「自分で選んだ道なんだから…」と心の中でつぶやいています。