No.73 H17.2.10

 昨日サッカーW杯最終予選の北朝鮮戦が行われたのをご覧になった方も多いと思います。そこで今回はその試合で途中出場ながらチームの司令塔として活躍していた中村俊輔選手について書いてみたいと思います。長くなりそうなのですが,どうか最後まで読んでください。

 中村選手はその天才的なパスワークで今も海外のイタリアリーグで活躍中なのですが,身体的にはサッカーに適しているとはとても言い難いほど華奢な体つきをしています。実際にJリーグにデビューした頃は相手選手に体ごと吹っ飛ばされたりもしていました。しかし彼はそれをものの見事にしかも短期間で克服していったのです。気が付くと,見た目はあまり変わらないのですが相手選手に全く当たり負けしない彼がいました。そのあまりの唐突な変化に,あるスポーツライターがいかにしてこれほどの変化を成し遂げたのかを尋ねたところ,そのときの彼のセリフが僕にとってはあまりにシンプルであったので,心に深く刻まれたのでした。それは,「僕は幼い頃からいつも自分で自分の課題を見つけ,それを一つずつ克服していくのが楽しくて仕方ありませんでした」というものでした。

 ある意味当然な答えですが,その頃の僕には極めて印象深かったのを今でも覚えています。しかし驚くべきことに,僕はその後このセリフとほぼ同内容の言葉を同じプロサッカー選手である中田選手やメジャーリーグのイチロー選手からも聞いたのでした。三人とも一様に,「自分の課題を克服するのが楽しいし,それを努力だと思わない」とコメントしているのです。

 当時の僕は,「これはすでに成功するための法則の一つとなり得ているのではないか」ととても興奮しました。それさえ出来れば何かが変わるはずだと。そこで自らの仕事を省みると,短期間で劇的に成績が上がる生徒というのはほぼ例外なく「今の自分に何が足りないかに自分で気付いており,その克服に必要な要素まではわからないとしても,少なくとも克服しようと日々考え続けている」ことに思い当たりました。

 そして,それから4年の月日が経過しました。その間僕はそういう事ができる生徒を育てようとあれこれやり続けてきました。東京での最後の2年間,そして札幌で開校してからのこの1年半の間,ほぼ毎日あらゆる角度からその事を伝えようとしてきました。もちろん僕自身も同様に日々自分の課題を見つけ,それを一つずつクリアしながら今までやってきました。毎日が「弱点の発見⇒挑戦⇒到達⇒新しい弱点の発見・・・」の繰り返しでした。その結果,僕の力ではまだまだ志半ばとしか言えないのですが,でも最近になって塾生の中には少しずつそれが見え始めてきました。ほんの少しずつではありますが,決して後退することなく着実に浸透してきているのを今実感しています。

 創優会という塾はただ勉強を教え成績を上げるというような塾では決してありません。もちろん成績を上げることも目的の一つではありますが,それよりも「いかに正しい過程に基づいて精一杯の頑張りを継続するか」という事の方が僕は大切だと考えています。小手先の薄っぺらな手段であったにもかかわらず結果を手にしてしまい,その後真っ当な努力と言うものができなくなってしまった生徒を僕は大勢見ていますし,実は以前僕も生徒にそのような指導をしていました。今でもそれを悔いています。受験や定期試験の結果はもちろん大切です。しかし,それだけを過大に評価し過ぎてしまい,「過程の重要性」をないがしろにしてしまっては,上記の中村選手のように大成することはほとんど望めないのではないでしょうか。過程を重視すると言うからには,テスト結果のようなわかりやすいものを見ているだけではどうしようもありません。生徒の言動はもちろん,目には見えにくい生徒の表情や更に表情に表れない目には見えない部分についても良く見て,感じてあげなければならないと僕は思っていますし,そこまでやることが当たり前なのだというように僕は教育を考えています。

 「地道な頑張りの継続」こそ大いなる実りを手にする唯一の方法だと僕は信じていますし,そのためには「過程自体を楽しもう」という中村選手の考え方が根底に必要なのでしょう。塾生のみんなにこの事を伝え,その後の人生に活かしてもらいたかったというのが,この塾を創った理由の一つなのです。

 新年度へ向けて,創優会が今まで以上の明るさとやる気と活力に満ちた塾になるように,これからも日々新たな気持ちで生徒を指導していきたいと思います。今後とも宜しくお願い致します。